借地権の相続手続きを実施したケース
状況
ご相談者のお父様は、借地上に建物を建てて住んでいましたが、先日お亡くなりになりました。
既にお母様も亡くなられているので、相続人はご相談者と弟さんの2人だけです。
お父様名義の建物をご相談者が相続して今後も住み続けるには、地主さんの承諾が必要になるのか当事務所にご相談にいらっしゃいました。
当センターからの提案&お手伝い
借地権とは建物を所有するために、他人の土地に設定された賃借権や地上権のことです。
借地権も財産なので、当然に相続の対象になります。
たとえご相談者がお父様と同居していなかったとしても借地権を相続することができます。
「借地権者がなくなったのだから、土地を返してほしい」という地主さんの要求に応じる必要はありません。
この点、借地上の建物を第三者に譲渡する場合には、必ず地主さんの承諾が必要になるのとは異なります。
借地権を相続した時に地主さんから名義書き換え料などを要求される場合もあるようですが、借地権の相続は譲渡に該当しない為、地主さんへの承諾料や更新料等の支払いは不要です。
地代、契約期間等契約の内容はそのまま継承されますので新たに賃借契約を取り交わす必要はありません。
ただし、本件の場合相続人が2人おり、借地権の継承者が確定した段階で、地主さんに内容証明で通知しておくとよいです。
また、建物の所有権については、相続登記をして名義変更しておく必要があります。
尚、相続した借地権が定期借地権の場合も当然に相続することができますが、存続期間が定められていて、存続期間満了すると借地権は消滅し、建物を解体して土地を地主さんに返さなければなりません。
定期借地権とは、存続期間を50年以上とする借地権で、契約の更新や延長がなく、建物買取請求なども認められていないものです。念のため、お父様と地主さんとの間で交わされた当初の契約書を調べることを提案いたしました。
結果
借地上の建物及び借地権を相続するのに、地主さんの承諾は必要ありません。
また、土地の賃貸借契約書を書き換える必要もありませんので、当事務所から地主さんに「土地の賃借権(もしくは地上権)を相続により取得した旨の通知をしました。
また、建物の所有権については、ご相談者名義に相続登記を行いました。